ホーム > 社葬のマナー:弔問時の作法

弔問の際には、遺族への思いやりを忘れずに、その場にふさわしい服装や作法をこころがけましょう。また、宗派によって作法やマナーも違いますので、事前に確認しておく必要があります。

受付での作法

葬儀・告別式とともに、弔問に参列する際には、開始予定時間の約10分前には受付を済ませておきます。

会場に到着したら
  1. コート・帽子やマフラーを脱ぎ、大きな手荷物を受付に預ける。
  2. 簡単にお悔やみの挨拶をし、(『このたびはご愁傷様です』など)、
    袱紗(ふくさ)に包んである香典を取り出す。
    広がっている袱紗を軽くたたみ、香典を先方に向け両手で渡す。
    そのときは、『御霊前にお供えください』と言葉を添えます。
  3. 必ず会葬者名簿に会社名や役職名を記入してから名前を記帳します。
    通夜に参列していた場合には、その旨を受付にいる方に一言伝えます。
  4. 記帳が終わったら、『お参りさせていただきます』と述べてから一礼します。
    葬儀場までは案内に従い席へ向かいます。このときには、遺族には直接挨拶はしないで、黙礼のみをする方がよいです。

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宗教別作法

仏式の作法

慌てずに、適切な行動をとることが大切です。まずは、社内の関連責任者に報告し、指示を仰ぎ対応の仕方を検討します。ときと場合によっては緊急役員会を開き、対処の仕方を慎重に検討する必要があります。

着席について

葬式会場では、故人とのつながりが深い順番の席になっています。勝手に席には座らず、案内に従い席に着きます。一般弔問客として参列する場合で自分より年配者が多いときは、末席に控えて気配りをするとよいでしょう。遺族への挨拶はこのときは黙礼だけにしておきましょう。

※着席したら席の移動などはしないで、私語を慎みましょう。(お手洗いなどは、済ませておきましょう。)懐かしい知り合い、友人を見つけても会場内では会話は控えておくこともマナーの一つです。

葬式(葬儀・告別式)の最中

葬式(葬儀・告別式)の最中は数珠をもちながら静かにしておき、読経が始まったら、頭を少しうなだれた状態で静かに拝聴する。

※焼香は自分の番がくるまで、おとなしく待ちます。自分の番の焼香が終わっても、みんなが終わるまで帰らずに待ちましょう。焼香の後は、なるべく出棺まで見送ります。

葬式(葬儀・告別式)が終了後

葬式(葬儀・告別式)が終わり出棺までの間の時間に、遺族と遺体の最後の対面が行われているため、一般の弔問者は外で待ちます。

※出棺の時は、合掌して見送ります。

焼香の種類・方法

立礼の焼香 ・祭壇に立った状態で向かいます。

  • 焼香台の2,3歩手前に進み出て、遺族へ一礼
  • 遺影を仰ぎ一礼 ・焼香台まで進み焼香し、合掌。
  • 遺族へ再度一礼して、自分の席へ戻る。
座礼の焼香
  • 順番が回ってきたら次の人に会釈し、腰を低くした状態で祭壇へ向かいます。
  • 祭壇前の座布団の手前に座り、遺族と僧侶に一礼。
  • 座布団へ進み、祭壇へ向かい合掌してから焼香。
回し焼香 ・盆にのった抹香と香炉が回ってきたら、軽く礼をしながら受け取る。
  • 自分の膝の上や正面に置き焼香。
  • 焼香が終わったら次の人へ回します。

※焼香の方法は場所の広さ、宗派によって変わってくるので遺族や周りの人の方法を確認しながら真似しましょう。

※仏式では、数珠は合掌する時の必需品なので、必ず用意するようにします。

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神式の作法

仏式と同じところもあるのですが、大きく違うところもあるので、前もって確認してから参列したほうがよいでしょう。

受付での注意点
  • 受付や玄関の前に、ひしゃくと水が用意してあったら、『手水の義』(ちょうずのぎ)を行い、手と口を清めましょう。ひしゃくのみで水がない場合は、省略されている場合なので、受付で香典を渡して記帳を済ませましょう。
  • コートやマフラー、帽子などの大きな手荷物は受付へ預けます。
着席
  • 案内に従って着席し、静かに喪主や遺族の入場を待ちましょう。
  • 神式では一般参列者は、喪主や遺族よりも先に入場しておくのがマナーです。
葬式(葬儀・告別式)の最中

仏式でいう焼香を神式では『玉串奉奠』(たまくしほうてん)といいます。榊の枝に紙片がついた玉串を祭壇に捧げる儀式です。
玉串には神霊が宿っているとされており、祭壇に捧げる行為は故人の霊を慰める意味を含めています。
弔辞などが済み、『玉串奉奠』を斎主・喪主・遺族・親族と進めますので、一般参列者も真似て奉奠(ほうてん)します。

玉串奉奠の作法
  1. 祭壇に捧げる順番がきたら前へ進んでいく遺族と神官に一礼し、神官から玉串を受け取る。持ち手に注意して根元が右手に、左手は葉先を下から支えるように持ちます。
  2. 玉串を持ちその姿勢で玉串を置く台の前に進んでいき、玉串をおして自分の正面に立てるように持ちかえます。
  3. さらに、左手が根元を、右手が葉先になるようにもちかえます。
  4. そのままの姿勢で足を時計回りに180°回して、根元を祭壇に向けます。
  5. 玉串を台の上に置き、前向きのまま退いて、深く二礼する。
  6. しのび手(両手を打つ手前で止め、音を立てない拍手)で二拍手し、深く一礼して下がり、遺族と神官に礼をする。

焼香ではなく玉串を捧げることから、不祝儀袋の表書きには御玉串料、御榊料、御神前料、御霊前などと明記し、水引では白無地の包みに白黒または双白の結び切りをします。また、神式の香典返しは、50日目の霊前祭の直後です。

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キリスト教式の作法

前夜祭・葬儀・告別式

キリスト教での葬儀は、仏式の通夜にあたる前夜祭というものがあります。前夜祭での受付は、他と同じく香典を受け取り記帳します。
仏教の焼香にあたるのが献花です。受付で香典を差し出し記帳した後、着席します。聖歌(または賛美歌)の合唱、聖書の朗読、祈りのあとに献花が行われます。

玉串奉奠の作法
  1. 牧師・神父、ご遺族に一礼して花の根元を左手、花を右手で受け取り、祭壇に進みます。
  2. 献花台の前で遺影に一礼し、花が手前、根元が向くように右回りで回します。
  3. 左手を持ち替えます。
  4. 献花台に花を捧げます。

※手を組み合わせて頭を下げて黙礼します。

  • キリスト教葬儀では、不祝儀袋の表書きが宗派によって異なります。間違わないように注意しましょう。
    カトリック…「御ミサ料」 水引はかけずに白無地の封筒に入れます。
    プロテスタント…「献花料、お花料」 十字架の絵柄や白百合での封筒
  • 香典というのは仏式の呼び方で、キリスト教では弔慰金とよぶこともあります。
  • 香典は弔事用の袱紗に包みます。金額は弔問する立場や、故人との関係によりそれぞれ変わってきます。
  • 香典を贈るという習慣が日本独特なものなので、一般にいう香典返しは、キリスト教のしきたりにはありません。キリスト教では、死後1ヵ月後の昇天記念日に送る挨拶状とともに、故人を偲ぶような品物を送ることが通例になっています。

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無宗教式

社葬・団体葬などは、広汎な参列者の宗教的多様さを配慮して、また、故人の意志などに従って無宗教で施行されることが多くなっています。
無宗教葬儀に参列する場合、遺族の側の要望を尊重することが大切です。どのような形式で葬儀を行うかを確認した上で、参列するようにしましょう。

通夜・告別式でのNG
  • 遅刻する ・香典に新札を包む
  • 遺族と長話する
  • 遺族に死因を聞く
  • 知り合いを見つけて話しかける
  • 通夜振る舞いを遠慮する ※夜振る舞いには、故人への供養の意味があります。箸を付けるだけでもよいので、お断りしないようにしましょう。また、「食事」ではないので長居は禁物です。
  • キリスト教式のお葬式で、「ご愁傷様です」「心よりお悔やみ申し上げます」と声をかける。 ※キリスト教の場合、天に召されるという考え方ですので、「安らかなお眠りをお祈り申し上げます」という言い方が一般的です。
参列者の服装

通夜の弔問は平服でも構いませんが、できれば略礼服で参列します。会社の代表として参列する社葬では、役員クラスの方々は正装で臨むことがよいでしょう。また、規模によっては、ブラックスーツなどの略式礼服の方がふさわしい場合もあります。光り物や装飾品は避けましょう。アクセサリーは、真珠ならかまいません。

服装例
男性/正装例
上衣 モーニングコート/黒、白襟は不可

ベスト/黒
ズボン/黒とグレーの縦縞
ネクタイ/黒
ワイシャツ/白
靴・靴下/黒
男性/略礼服例
スーツ/黒、濃紺、濃グレーなどの無地
ベスト/スーツと共布
ネクタイ/黒
ワイシャツ/白
靴・靴下/黒
女性/正装例(和装)
着物/黒無地に五つ紋の染め抜き
帯/黒無地
帯上げ/黒 
帯締め/黒
長襦袢/白 
半襟/白
足袋/白 
ぞうり/黒
バッグ/黒
女性/洋装例
スーツまたはワンピース/黒、薄紺、茶などの無地
ストッキング/黒
靴/黒または地味な色
アクセサリー/不可
これだけは避けたい服装 NG集
男性
シャツ…柄や模様が入ったもの
靴…茶系やスエード 目立つ金具がついている靴も避けたほうが無難です。
女性
洋服…夏場でも袖のないものは避けて肌の露出を控え、シンプルなデザインのものが◯。ブラウスやストッキングも黒以外は×。
靴…エナメルやサンダル、ミュールタイプは×。
アクセサリー…結婚指輪以外は外します。パールのネックレスでも2重のものは×(悲しみが繰り返すという意味から)
男性・女性
その他…革や毛皮のコートは「殺生」をイメージさせることから避けたほうが無難。派手な時計やカフスボタンなどにも注意。和洋装を問わず、黒であっても光沢のあるものは避けます。

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