あ行
- 後飾り(あとかざり)
- ご葬儀後、四十九日までの間、ご自宅に設ける祭壇です。白木の台に、遺骨、遺影、位牌、供物などを飾り、故人の冥福を祈ります。後飾りは、故人の霊が四十九日間自宅に留まると考えられていることに由来し、ご遺族が故人を偲び、供養するための大切な場所となります。最近では、住宅事情に合わせてコンパクトな後飾りも増えています。
- 遺骨(いこつ)
- 火葬後、骨壷に納められた遺骨のことです。遺骨は、故人の身体の一部であり、大切な遺品として扱われます。お墓に納骨されるほか、手元供養や散骨といった方法で供養される場合もあります。遺骨をどのように供養するかは、故人の遺志やご遺族の意向によって様々です。
- 位号(いごう)
- 仏教において、故人の霊位を表す称号です。一般的には、男性は「信士」「居士」、女性は「信女」「大姉」などが用いられます。位号は、戒名の下に付されることが多く、故人の信仰心や社会的な貢献度などによって、より上位の位号が授けられることもあります。
- 一周忌(いっしゅうき)
- 故人の命日から満一年後に行われる法要です。ご遺族や親族が集まり、故人を偲び、冥福を祈ります。僧侶による読経や、参列者による焼香などが行われ、その後、会食の場が設けられることもあります。一周忌は、故人を偲び、その供養をする大切な機会となります。
- 位牌(いはい)
- 故人の霊が宿る依り代(よりしろ)となる、大切なものです。故人の戒名(法名)や俗名、没年月日などが記された木の札で、葬儀後、後飾り祭壇に安置され、忌明け後には仏壇に祀られます。位牌には、葬儀で使用する白木の仮位牌と、忌明け後に本位牌が用意されるのが一般的です。
- 引導(いんどう)
- 仏式の葬儀において、僧侶が故人を仏の世界へ導くために行う儀式です。読経や偈文(げもん)の唱和などによって、故人の成仏を祈ります。引導は、故人が迷うことなく安らかにあの世へ旅立てるようにとの願いが込められています。
- 氏子(うじこ)
- 神社に所属し、その神社を信仰する地域住民のことです。氏子は、神社の祭礼などに参加し、神社の運営を支える役割を担います。葬儀においては、神式の葬儀を行う場合に、氏神様にお見送りをしていただくという意味合いがあります。
- 盂蘭盆会(うらぼんえ)
- 一般的には「お盆」として知られる、ご先祖様の霊を供養する行事です。毎年8月(地域によっては7月)に行われ、ご先祖様の霊を迎える「迎え火」や、送る「送り火」などが行われます。
- お車代(おくるまだい)
- 葬儀や法要などで、僧侶や遠方から参列した親族などに渡す交通費です。感謝の気持ちを表すもので、白封筒に入れ、「御車代」と表書きするのが一般的です。
- 送り火(おくりび)
- お盆の期間が終わる際に、ご先祖様の霊を送るために焚く火です。地域によって方法や規模は異なりますが、故人の霊が無事にあの世へ帰れるようにとの願いが込められています。
- お膳料(おぜんりょう)
- 葬儀や法要などで、僧侶に食事を供えなかった場合に、その代わりに渡す金銭です。感謝の気持ちを表すもので、白封筒に入れ、「御膳料」と表書きするのが一般的です。
- お斎(おとき)
- 葬儀後や法要後などに、参列者に振る舞われる食事のことです。故人を偲びながら、参列者同士が故人の思い出などを語り合う場となります。近年では、精進料理に限らず、一般的な料理が提供されることも多くなっています。
- お布施(おふせ)
- 僧侶に読経や戒名料などのお礼として渡す金銭です。感謝の気持ちを表すもので、金額は地域や寺院、宗派によって異なります。白無地の封筒に入れ、「御布施」と表書きするのが一般的です。
- エンバーミング
- ご遺体の衛生保全や修復を行う技術です。ご遺体の状態を良好に保つことで、故人とのお別れの時間を大切に過ごせるようにサポートします。海外では一般的な処置ですが、日本でも近年注目されています。
- お別れ会(おわかれかい)
- 葬儀後、日を改めて故人を偲ぶ会です。既存の慣習にとらわれず、故人を偲ぶ自由な形式で行われることが多いです。友人や知人など、多くの方々が集まり、故人の思い出を語り合う場となります。
か行
- 回忌(かいき)
- 故人の命日(祥月命日)から一定の年数ごとに行われる法要のことです。一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌…と続き、故人を偲び、冥福を祈ります。年数が経つにつれて規模を縮小していくのが一般的です。回忌法要は、故人の霊を供養し、遺族や親族が集まる大切な機会です。
- 会葬礼状(かいそうれいじょう)
- 葬儀に参列していただいた方々へ、喪主から感謝の気持ちを伝える書状です。葬儀後、返礼品などに添えて送るのが一般的です。会葬のお礼とともに、故人の略歴や生前の人となりなどを記すこともあります。
- 会葬返礼品(かいそうへんれいひん)
- 会葬返礼品は、葬儀や告別式に参列してくれた方々へのお礼としてお渡しする品物です。タオルやお茶、菓子などが一般的で、地域や予算に応じて選ばれます。感謝の気持ちを込めた贈り物として、会葬礼状を添えるのが一般的です。
- 開眼法要(かいげんほうよう)
- 開眼法要は、新しい仏壇や墓石を購入した際に行う儀式で、「魂入れ」とも呼ばれます。僧侶が読経を行い、仏や先祖の霊が宿る場としての意味を込めます。この儀式を通じて、仏壇や墓石が供養の対象として正式に扱われるようになります。
- 改葬(かいそう)
- 改葬とは、遺骨を現在の墓地から別の墓地に移すことを指します。家庭の事情や墓地の維持が難しい場合に行われることが多いです。改葬には自治体から「改葬許可証」を取得する必要があり、手続きや費用がかかるため事前の準備が重要です。
- 戒名(かいみょう)
- 仏教において、故人に与えられる名前です。本来は出家した際に授けられる名前でしたが、現在では死後に授けられるのが一般的です。宗派や寺院、生前の行いなどによって、様々な戒名があります。
- 過去帳(かこちょう)
- 過去帳は、故人や先祖の名前、没年月日、戒名などを記録した帳簿です。仏壇に保管し、法要や供養の際に使用します。過去帳は、家族や親族の歴史を伝える重要な記録として大切にされます。
- 火葬(かそう)
- 火葬は、故人の遺体を火で焼いて遺骨にする葬送方法です。日本では最も一般的な方法で、火葬場で行われます。火葬後、遺族は拾骨を行い、遺骨を骨壺に納めますが、地域や宗教によって手順が異なる場合があります。
- 火葬許可証(かそうきょかしょう)
- 火葬許可証は、故人を火葬するために必要な公的書類です。役所で死亡届を提出した後に発行されます。この許可証がないと火葬を行えないため、葬儀の準備で重要な手続きの一つです。
- 形見分け(かたみわけ)
- 故人の遺品を、親族や親しい友人などで分けることです。故人を偲ぶとともに、故人の思い出を共有する意味合いがあります。高価なものや貴重品は、相続の手続きが必要となる場合があります。
- 神棚(かみだな)
- 神道において、神様を祀るための棚です。家庭や会社などに設置され、神札などを祀ります。葬儀の際には、神棚を白い紙などで覆い、神様の力を遮る「神棚封じ」を行う場合があります。
- 北枕(きたまくら)
- 北枕は、故人の遺体を北を頭にして寝かせることを指します。これは、仏教の開祖であるお釈迦様が北枕で亡くなったとされることに由来します。故人を安らかに送るための習慣として広く行われています。
- 忌明け(きあけ)
- 忌明けは、故人の死後、一定の喪に服する期間が終わることを指します。仏教では通常、四十九日法要を区切りとします。この日を迎えると遺族は日常生活に戻り、社会活動を再開する節目となります。
- 忌中札(きちゅうふだ)
- 忌中札は、家族が喪に服していることを示す札で、家の入口に掲げます。「忌中」と記され、訪問者に対して静かに過ごす期間であることを知らせる役割があります。仏教や地域の習慣に基づいて使用されます。
- 供花(きょうか・くげ)
- 供花は、葬儀や法要の際に故人を偲んで捧げられる花のことです。遺族や参列者が用意し、祭壇に飾ります。供花には白や淡い色の花が選ばれることが多く、故人への敬意と感謝を表します。
- 経帷子(きょうかたびら)
- 経帷子は、故人が着用する白い死装束の一部で、仏教の経文が書かれた布で作られています。死後の旅路にふさわしい衣装とされ、故人が成仏できるよう願いを込めて着せられます。
- 享年(きょうねん)
- 享年とは、故人が亡くなったときの年齢を指します。数え年で表記するのが一般的ですが、最近では満年齢を用いる場合もあります。「享年〇〇歳」と表記され、故人の生涯を振り返る際に用いられます。
- 清め塩(きよめしお)
- 葬儀後などに、穢れを祓うために体に振りかける塩です。神道における考え方に基づいています。
- 釘打ち(くぎうち)
- 釘打ちは、棺の蓋を閉じる際に行う儀式です。遺族が順番に釘を打ち、故人との最後の別れを象徴します。釘を打つことで、故人が安らかに旅立てるよう願いを込めます。
- くりだし位牌(くりだしいはい)
- 複数の故人の位牌を一つにまとめた位牌です。先祖代々の位牌をまとめて祀る際に用いられます。
- 血脈(けちみゃく)
- 血脈は、仏教の儀式で僧侶から授けられる証書で、仏と結ばれたことを示します。戒名とともに記されることがあり、故人が仏の教えに従い成仏できるよう願いを込めて作られます。
- 献花(けんか)
- キリスト教式の葬儀などで、故人に花を手向ける儀式です。故人を偲び、感謝の気持ちを表します。
- 香典(こうでん)
- 香典は、故人への弔意を示すために遺族に渡す金品のことで、香の代わりに供えるという意味があります。葬儀の費用を助ける意味もあり、金額は地域や関係性によって異なります。香典袋に包み、葬儀の受付で渡します。
- 香典返し(こうでんがえし)
- 香典をいただいた方々へ、お礼として贈る品物です。忌明け後、お礼状とともに送るのが一般的です。
- 香炉(こうろ)
- 香炉は、線香やお香を焚くための器具で、仏式の葬儀では焼香の際に使用します。自宅では仏壇に置かれ、故人や先祖への祈りや供養の場で使用されます。香炉から立ち上る香りが場を清め、心を落ち着かせる役割も果たします。
- 告別式(こくべつしき)
- 告別式は、故人との最後の別れを告げる儀式です。通常は葬儀に続けて行われ、遺族や参列者が故人を偲びながらお別れの挨拶を行います。
- 五十回忌(ごじゅっかいき)
- 故人の命日から五十年後に行われる法要です。弔い上げとして、最後の年忌法要とすることが多いようです。
- 骨上げ(こつあげ)
- 骨上げは、火葬後に遺骨を拾い上げ、骨壺に納める儀式です。遺族が専用の箸を使い、丁寧に行います。故人への敬意を込めた重要な儀式で、地域によって手順が異なる場合があります。
- 骨つぼ(こつつぼ)
- 骨つぼは、火葬後の遺骨を納めるための容器です。陶器製が一般的ですが、デザインや素材は多様です。骨つぼは火葬場で用意されることが多く、遺族が選んで使用します。
さ行
- 祭祀(さいし)
- 祖先や神仏を供養し、敬うための宗教的な儀式や行事を指す。一般的には、お盆や彼岸の供養、年忌法要などが含まれる。家ごとに代々受け継がれるものであり、特定の人が「祭祀主宰者」として継承する。日本の民法では、祭祀は通常の相続財産とは異なり、特定の相続人が承継するものとされている。
- 祭祀財産(さいしざいさん)
- 祖先の祭祀を行うために必要な財産のこと。仏壇・位牌・墓地・墓石・神棚などが含まれる。一般的な相続財産とは異なり、民法897条に基づき、慣習に従って承継者が決められる。承継者は相続人に限定されず、家族の意思や地域の風習によって決まることが多い。
- 西方極楽浄土(さいほうごくらくじょうど)
- 浄土宗や浄土真宗で説かれる、阿弥陀如来が住む理想の世界。阿弥陀仏の救済を信じ、念仏を唱えることで往生できるとされる。仏教の世界観では、極楽浄土は西方に位置し、苦しみのない安らぎの国として描かれる。多くの仏教徒にとって、極楽往生は最終的な目標とされる。
- 在来仏教(ざいらいぶっきょう)
- 日本に古くから伝わる伝統的な仏教の宗派の総称。主に、天台宗・真言宗・浄土宗・浄土真宗・臨済宗・曹洞宗・日蓮宗などが含まれる。仏教の教えに基づき、葬儀や法要が執り行われることが多く、現在も多くの寺院が地域の信仰の中心となっている。
- 逆さ屏風(さかさびょうぶ)
- 故人を弔う際、屏風を通常とは逆向きに立てる風習。死の穢れを避けるための習慣の一つとされ、特に仏式の葬儀で見られることがある。逆さ事(通常とは逆にする行為)の一つで、死が日常とは異なる特別なものであることを示す意味も持つ。近年では、省略されることも多い。
- 三回忌(さんかいき)
- 故人の命日から満2年後に営まれる年忌法要。初七日や四十九日、一周忌に続く重要な法要の一つとされる。一般的には親族が集まり、僧侶による読経を受け、焼香・供養を行う。三回忌を過ぎると、年忌法要は三十三回忌や五十回忌まで間隔が開くことが多い。
- 三具足(さんぐそく・みつぐそく)
- 仏壇や祭壇に供える基本的な仏具の組み合わせ。通常、香炉・花立・燭台の3つを指し、仏前を清め、香・花・灯明を供えるために使用される。浄土真宗では、香炉・花立・火立(燭台)を二具足とする場合もある。
- 散骨(さんこつ)
- 火葬後の遺骨を粉末状にし、海や山などに撒いて供養する方法。従来の墓地埋葬に代わる新しい供養の形として注目されている。日本では法律上、墓地以外への埋葬は禁止されているが、適切な方法で行われる散骨は問題ないとされる。海洋散骨が一般的で、自然葬の一種とされる。
- 三社造り(さんしゃづくり)
- 神棚の形式の一つで、中央に「本社」、左右に「脇社」を配した構造を持つ。主に神道の信仰に基づき、家庭での神祭りに用いられる。一般的には中央に氏神様を祀り、左右に伊勢神宮の神々や崇敬する神社を祀る。
- 三十三回忌(さんじゅうさんかいき)
- 故人の没後満32年目に行う年忌法要。仏教では、三十三回忌をもって弔い上げとし、先祖の霊が家族と同化すると考えられている。これ以降は特別な法要を行わないことが多いが、地域や家によって異なる。
- 式年祭(しきねんさい)
- 一定の年ごとに行われる神道の祭儀。神社では、創建記念や特定の神事として定期的に行われることがある。個人や家族単位では、祖先の供養として営まれる場合もある。一般的には、十年祭・二十年祭・五十年祭などがある。
- 樒(しきみ・しきび)
- 仏事で供花として用いられる常緑樹。葉には独特の香りがあり、仏壇や墓前に供えられることが多い。仏教の葬儀で重用され、特に浄土真宗では重要な供物とされる。毒性があるため、動物除けの意味も持つ。
- 四十九日(しじゅうくにち)
- 故人の命日から数えて49日目に行われる重要な法要。仏教では、故人の魂がこの期間を経て成仏するとされるため、遺族は手厚く供養を行う。納骨のタイミングとしても一般的。
- 七七日忌法要 (しちしちにちき/なななぬかきほうよう)
- 「四十九日法要」とも呼ばれ、故人があの世へ旅立つ節目とされる。遺族や親族が集まり、僧侶の読経と焼香を行い、納骨することが多い。
- 死装束(しにしょうぞく)
- 故人に着せる白い衣装で、旅立ちの装いとされる。地域や宗派によって異なるが、一般的には白の経帷子(きょうかたびら)、頭巾、手甲、脚絆、草履などを身につける。冥途への旅支度として、三途の川の渡し賃とされる六文銭を持たせる風習もある。
- しのび手(しのびて・しのびで)
- 通夜や葬儀の場で、音を立てずに行う拍手。神道の葬儀(神葬祭)で用いられ、通常の柏手(かしわで)とは異なり、音を出さずに手を合わせて鳴らさない形で行う。これは、死の穢れを祓い、故人の魂を静かに送るための作法とされる。
- 社葬(しゃそう)
- 企業や団体が主体となって執り行う葬儀。故人が経営者や役員、功績のあった従業員である場合に行われることが多い。一般的な個人葬と異なり、社内外の関係者が多く参列するため、大規模な準備が必要。
- 終活(しゅうかつ)
- 人生の終わりを見据え、事前に準備を進める活動。エンディングノートの作成、遺言書の準備、葬儀や墓の手配、生前整理などが含まれる。本人の意思を尊重し、家族への負担を減らす目的で行われる。近年は、セミナーや専門サービスも増え、関心が高まっている。
- 周忌(しゅうき)
- 故人の命日に行われる年忌法要のこと。一周忌(満1年)以降、三回忌(満2年)、七回忌(満6年)と続く。特に、三十三回忌をもって「弔い上げ」とすることが多い。遺族や親族が集まり、僧侶の読経のもと焼香し、供養を行う。
- 宗旨・宗派(しゅうし・しゅうは)
- 仏教における教義や信仰の体系を指す。日本には天台宗・真言宗・浄土宗・浄土真宗・臨済宗・曹洞宗・日蓮宗などの宗派があり、それぞれ葬儀の作法や供養の考え方が異なる。宗派によって戒名の形式や読経の内容が変わるため、事前の確認が重要。
- 収蔵(しゅうぞう)
- 遺骨や遺品を納めること。寺院や納骨堂に収める場合や、個人の手元供養として保管する場合がある。近年では、ロッカー型納骨堂や合祀墓など、多様な収蔵方法が登場している。
- 出棺(しゅっかん)
- 葬儀の後、故人を火葬場へ送り出す儀式。棺を霊柩車へ運び、遺族や参列者が最後の別れを告げる。
- 須弥壇(しゅみだん)
- 仏教寺院や仏壇において、本尊(仏像など)を安置するために一段高く設けられた場所のこと。古代インドの世界観で、世界の中心にそびえる聖なる山「須弥山(しゅみせん)」をかたどって作られたとされる。
- 樹木葬(じゅもくそう)
- 墓石を設けず、樹木を墓標として遺骨を埋葬する供養方法。自然と共生する形で供養するため、環境保護の観点からも注目されている。霊園型と里山型があり、管理方法は施設ごとに異なる。
- 焼香(しょうこう)
- 線香や抹香を焚いて故人を供養する作法。仏教の葬儀や法要で行われる。宗派によって回数ややり方が異なるため、事前に確認することが望ましい。
- 精進落とし(しょうじんおとし)
- 葬儀後に遺族や親族、参列者が集まって食事をする会食。元々は、仏教の四十九日法要までの間、肉や魚を避けた精進料理を食べていた人が、忌明け後に通常の食事に戻すことを「精進落とし」と呼んでいた。現代では、葬儀後の会食そのものを「精進落とし」と呼ぶのが一般的。
- 白木位牌(しらきいはい)
- 葬儀で使用される仮の位牌。四十九日法要後に本位牌に替えるのが一般的。
- 白木祭壇(しらきさいだん)
- 葬儀の際に使用される、白木で作られた祭壇。素材には加工されていない木材が用いられ、その白さが清潔感や厳粛な雰囲気を醸し出す。仏式の葬儀で伝統的に使われてきたこの祭壇は、中央に遺影が飾られ、その左右に供物や装飾品が配置されるのが一般的。
- 清祓の儀(きよはらいのぎ)
- 神道における儀式の一つで、穢れを祓い清めることを目的として行われる。神社のお祭りや葬儀、家を新築した際など、さまざまな場面で神職が祝詞を奏上し、お祓いの道具を用いて、場所や物を清める。
- 精霊棚(しょうりょうだな)
- お盆の際に設置する棚で、故人の霊を迎えるために用いられる。位牌や供物を並べ、迎え火や送り火を焚くことが一般的。
- 前夜祭(ぜんやさい)
- 神道の葬儀で、通夜に相当する儀式。故人の霊を慰めるため、神職による祝詞奏上などが行われる。
- 葬儀(そうぎ)
- 故人を送り出すための儀式。宗教や文化により異なるが、一般的には通夜、告別式、火葬、納骨などの一連の流れを含む。最近では家族葬や直葬といった形式も増えている。
た行
- 玉串奉奠(たまぐしほうてん)
- 神道の儀式で、玉串(榊の枝に紙垂を付けたもの)を神前や霊前に供え、故人の冥福を祈る作法。玉串を捧げる際は、両手で持ち、時計回りに回して根元を神前に向けるのが正式な方法。
- 魂抜き(たましいぬき)
- 仏壇や墓石などに宿るとされる故人の魂を抜き、供養の対象から外す儀式。僧侶が読経し、開眼供養とは逆の手順で行う。墓じまいや仏壇整理の際に実施されることが多い。
- 檀家(だんか)
- 特定の寺院に属し、支援や供養を依頼する家のこと。先祖代々、菩提寺と関係を築くことが一般的で、葬儀や法要をその寺院で執り行う。
- 団体葬(だんたいそう)
- 企業や団体が主催する葬儀で、社葬や組合葬などが含まれる。一般の葬儀よりも規模が大きく、社外関係者の参列も多いのが特徴。
- 中陰供養(ちゅういんくよう)
- 仏教における死後49日間の供養のこと。亡くなった人が次の世へ旅立つ期間とされ、七日ごとに法要が営まれる。四十九日法要が最も重要とされる。
- 弔辞・弔電(ちょうじ・ちょうでん)
- 弔辞は葬儀で故人を偲び、お別れの言葉を述べるもの。弔電は遠方などの理由で参列できない場合に送る哀悼のメッセージ。
- 手水の儀(ちょうずのぎ)
- 神道の葬儀で行われる清めの儀式。参列者が手水を使って手や口をすすぎ、身を清める。神社での参拝時と同様の作法で行う。
- 弔問客(ちょうもんきゃく)
- 故人や遺族を訪れ、お悔やみを述べる人。通夜や葬儀に参列し、焼香や玉串奉奠を行う。訪問時のマナーとして、過度な長居を避けることが望ましい。
- 追悼ミサ(ついとうみさ)
- カトリックにおいて故人を偲び、神のもとでの安息を願うミサ。命日や記念日に行われ、聖書朗読や祈りが捧げられる。
- 月命日(つきめいにち)
- 故人が亡くなった日と同じ日が毎月の命日となる。仏壇に手を合わせたり、墓参りをしたりすることが一般的。
- 通夜(つや)
- 葬儀・告別式の前夜に行われる儀式。僧侶の読経の後、参列者が焼香を行い、遺族とともに故人を偲ぶ。かつては夜通し行うことが多かったが、現在は短時間で終える半通夜が主流。
- 通夜振る舞い(つやぶるまい)
- 通夜の後、参列者に振る舞われる食事。遺族が感謝を伝え、故人を偲ぶ場とされる。近年は簡素化される傾向にある。関東地方では、一口だけでも箸をつけるのがマナーとされている。
- 手元供養(てもとくよう)
- 遺骨や遺灰の一部を手元に置いて供養する方法。ペンダントやミニ骨壺など専用の容器に納め、故人を身近に感じる供養として人気が高まっている。
- 道号(どうごう)
- 戒名の一部で、故人の生前の人柄や功績を表す称号。主に禅宗で用いられ、僧侶が授ける。
- 塔婆(とうば)
- 故人の供養のために墓地に立てる木製の板。戒名や供養の経文が記され、年忌法要やお盆の際に建てられることが多い。
- 灯明供養(とうみょうくよう)
- 灯明(ろうそくや燈火)を捧げ、故人の冥福を祈る供養。仏教では、智慧の象徴とされる灯火を献じることが功徳になるとされる。
- 灯籠流し・灯篭流し(とうろうながし)
- お盆や供養の際に、故人の霊を慰めるため川や海に灯籠を流す行事。幻想的な光景が広がり、多くの地域で夏の風物詩として行われている。
- 弔い上げ(とむらいあげ)
- 故人の供養の一区切りとなる最後の年忌法要。三十三回忌や五十回忌をもって、先祖として祀る形に移行することが多い。
- 友引(ともびき)
- 六曜の一つで、「友を引く」とされ、縁起が悪いとされるため、葬儀を避ける風習がある。火葬場が休業する地域もあるため、注意が必要。
な行
- 七回忌(ななかいき)
- 故人が亡くなってから6年後(満6年目)に行う年忌法要。親族や親しい人が集まり、僧侶の読経や焼香を行う。近年では、三回忌以降の法要を省略するケースも増えている。
- 新盆(にいぼん)
- 故人が亡くなって、忌明け後に初めて迎えるお盆のこと。特別な供養が行われ、僧侶を招いて読経を依頼したり、白提灯を飾って故人の霊を迎えたりする風習がある。
- 年忌(ねんき)
- 故人の命日に行われる供養のことで、一周忌、三回忌、七回忌などがある。特に重要とされるのは一周忌と三回忌で、それ以降は簡素化されることが多い。
- 年忌法要(ねんきほうよう)
- 故人の冥福を祈るために、命日に合わせて行われる法要。親族が集まり、僧侶の読経を受けて供養する。三十三回忌や五十回忌を「弔い上げ」として最後の法要とすることが一般的。
- 納棺(のうかん)
- 故人の遺体を棺に納める儀式。遺族が立ち会い、湯灌や死化粧を施し、旅支度として死装束を整える。宗教や地域によって作法が異なる場合がある。
- 納棺師・納棺士(のうかんし)
- 納棺の儀式を専門に行う職業。遺体を清め、死装束を整えるほか、遺族の希望に応じて化粧や整髪も行う。映画『おくりびと』の影響で広く知られるようになった。
- 納骨堂(のうこつどう)
- 遺骨を安置する施設。屋内に設けられた霊廟や寺院の一部として管理されることが多い。近年は、マンション型やロッカー式など、多様なタイプの納骨堂が普及している。
- 納骨法要(のうこつほうよう)
- 火葬後や四十九日法要、一周忌などの節目に、遺骨を納骨堂やお墓に納める際に行う供養。僧侶による読経と焼香が一般的な流れとなる。
- 野辺送り(のべおくり)
- 故人を埋葬地や火葬場へ送り出す儀式。かつては、遺族や参列者が棺を担ぎ、歩いて墓地まで送る風習があったが、現在は霊柩車を用いるのが一般的。
は行
- 箸渡し(はしわたし)
- 火葬後の収骨の際、二人一組で箸を使い、遺骨を骨壷へ納める作法。日本では通常、この行為は葬儀以外では避けるべきとされ、食事中の箸渡しはマナー違反とされる。
- 初盆(はつぼん)
- 故人が亡くなって、忌明け後に初めて迎えるお盆のこと。特別な供養が行われ、僧侶を招いて読経を依頼したり、白提灯を飾って故人の霊を迎えたりする風習がある。
- 花祭壇(はなさいだん)
- 生花をふんだんに使用して飾られた祭壇。従来の白木祭壇と異なり、華やかで個性的なデザインが可能なため、近年では一般的になりつつある。
- 彼岸・お彼岸(ひがん・おひがん)
- 春分の日と秋分の日を中心に前後3日間を含む計7日間の仏教行事。この期間に先祖供養を行う風習があり、お墓参りや法要が執り行われる。
- 百箇日法要(ひゃっかにちほうよう)
- 故人の命日から数えて100日目に行う追善供養。遺族が悲しみを乗り越え、故人の冥福を祈る節目とされ、「卒哭忌(そっこくき)」とも呼ばれる。地域や宗派によっては、省略されることもあるが、四十九日法要後の大切な供養の一つとされる。
- 袱紗(ふくさ)
- 香典やご祝儀を包む布。弔事では寒色系(紫・紺・グレー)を使用し、慶事と区別する。金封を包み、渡す際のマナーとして用いられる。
- 副葬品(ふくそうひん)
- 故人と共に棺に納める品物。愛用品や手紙、花などが選ばれるが、火葬時に燃えにくい金属やプラスチック製品は避けるのが一般的。
- 仏具(ぶつぐ)
- 仏壇や寺院で使用する道具の総称。位牌、仏像、燭台、香炉などが含まれる。宗派ごとに使う仏具の種類や配置が異なる。
- 仏生会(ぶっしょうえ)
- お釈迦さまの誕生日である4月8日に行われる仏教行事。甘茶を仏像に注ぎ、花で飾ることから「花祭り」とも呼ばれる。
- 仏壇(ぶつだん)
- 家庭内で仏像や位牌を祀るための祭壇。宗派ごとに形状や飾り方が異なり、日々のお参りや年忌法要の場として用いられる。
- 分骨(ぶんこつ)
- 遺骨の一部を複数の場所に分けて納めること。自宅供養や菩提寺と納骨堂の両方に遺骨を安置する際などに行われる。
- 閉眼法要(へいがんほうよう)
- 仏壇や位牌などの供養対象から魂を抜く儀式。引越しや買い替えの際に行われ、僧侶が読経して供養する。魂抜きとも呼ばれる。
- 併修(へいしゅう)
- 1年のうちに二つ以上の法要が重なった際に、一日にまとめて法要を営むこと。ただし、特に重要な法要とされる一周忌や三回忌は、単独で営む方が好ましいとされる。
- ペット葬(ぺっとそう)
- ペットが亡くなった際に行う葬儀。火葬や納骨、供養の方法は人間の葬儀と類似しており、専門の業者による個別・合同火葬などがある。
- 法事・法要(ほうじ・ほうよう)
- 故人の冥福を祈るために行う仏教儀式。命日や節目ごとの年忌法要などが含まれ、僧侶の読経とともに焼香を行う。
- 法名軸(ほうみょうじく)
- 故人の法名(戒名)が記された掛け軸。浄土真宗では白木位牌を用いず、法名軸を仏壇に安置して供養する。
- 菩提寺(ぼだいじ)
- 先祖代々の墓がある寺院。葬儀や法要を依頼する場合が多く、檀家として寺院と深い関係を持つことが一般的。
- 本位牌(ほんいはい)
- 故人の戒名や法名を記した正式な位牌。白木位牌は仮のものとされ、四十九日法要などの際に本位牌へと切り替える。
- 盆棚(ぼんだな)
- お盆の時期に設ける祭壇。精霊棚とも呼ばれ、故人の霊を迎えるために供物や位牌を祀る。地域によって飾り方が異なる。
ま行
- 埋葬(まいそう)
- 遺骨を墓地や納骨堂に納めること。火葬後の遺骨を土中に埋めることを指すが、近年では納骨堂や樹木葬など多様な供養方法がある。埋葬には「埋葬許可証」が必要。
- 埋葬許可証(まいそうきょかしょう)
- 遺骨を墓地などに納める際に必要となる書類。火葬後に、火葬場の職員によって火葬日時や証印が押された火葬許可証が、埋葬許可証にあたる。
- 枕飾り(まくらかざり)
- 故人の枕元に供える祭壇。白木の台に香炉、燭台、花、供物などを配置し、故人を弔う。宗派によって配置や供物が異なることがある。
- 枕経(まくらきょう・まくらぎょう)
- 故人が亡くなった直後に僧侶が枕元で唱えるお経。死後すぐに読経することで故人の魂を安らかにし、冥福を祈る。宗派によって読まれる経典が異なる。
- 末期の水(まつごのみず)
- 故人が亡くなる直前または亡くなった直後に、家族が水を含ませた布や筆で唇を潤す儀式。臨終の際に最後の水を授けることで、極楽浄土へ導くとされる。
- 守り刀(まもりがたな)
- 故人の枕元に置く小刀で、魔除けの意味がある。特に武士の家では、亡くなった男性に刀を添える習慣があった。現代では儀礼的な意味合いが強い。
- 満中陰(まんちゅういん)
- 故人が亡くなってから49日目の法要を指し、四十九日法要とほぼ同義。満中陰に執り行うことで、故人の魂が冥界を脱し、安らかな成仏を果たすとされる。
- 密葬(みっそう)
- ご遺族様やご親族様・ごく親しい友人など、限られた人のみで行う葬儀。故人の意向や家族の希望に基づき、静かな形で執り行うことが多い。後日あらためて、本葬としての「お別れ会」などを行うのが一般的。
- 御霊(みたま)
- 亡くなった人の魂を指す言葉。神道では祖先の霊として祀られ、仏教では故人の魂が成仏することを願う対象となる。お盆や命日には御霊を供養する風習がある。
- 迎え火・迎え盆(むかえび・むかえぼん)
- お盆の始まりに、故人の霊が家に戻る目印として焚く火。一般的には玄関先で焚かれる。盆明けには「送り火」を焚き、再び故人を送り出す。
- 木魚(もくぎょ)
- 読経の際にリズムを取るために叩く木製の法具。魚の形をしており、怠けず修行に励む意味が込められている。
- 喪主(もしゅ)
- 葬儀を執り行う責任者。遺族の代表として、僧侶や葬儀社との対応、参列者への挨拶などを行う。一般的には配偶者や長男が務めるが、状況によって異なる。
- 喪中(もちゅう)
- 近親者が亡くなった際に、一定期間弔意を示して祝い事を控える期間。一般的には1年間とされるが、関係性や地域の習慣によって異なる。年賀状の欠礼をするのが一般的。
や行
- 湯灌(ゆかん)
- 亡くなった人の身体を清める儀式。日本では、特に伝統的な葬儀で行われ、亡くなった人に最後の清めの儀式を施し、死後の安寧を祈る意味が込められている。
ら行
- 霊璽(れいじ)
- 神道において故人の御霊を移して祀る依り代で、仏教の位牌に相当する。ヒノキなどの白木で作られており、霊号(死後の名称)や帰幽年月日などが記載される。
- 霊具膳(れいぐぜん・りょうぐぜん)
- 故人の霊に供える食事を指す。一般的に、ご飯、汁物、煮物、和え物などの精進料理を小さな膳に並べ、仏壇や祭壇に供える。地域や宗派によって献立は異なるものの、一汁三菜が基本とされる。
- 霊祭(れいさい)
- 亡くなった人の霊を祀る神道の儀式。仏教における法要に相当し、葬儀後の「十日祭」「五十日祭」「一年祭」「五年祭」など、節目ごとに行われる。霊祭では、神職による祝詞奏上(のりとそうじょう)や玉串奉奠(たまぐしほうてん)を行い、家の守り神となるよう祈る。
- 六文銭(ろくもんせん)
- 故人が三途の川を渡る際に必要な渡し賃として、棺に入れる銭。現代では、六文銭の代わりに、紙に印刷された六文銭を入れることが一般的。故人が無事にあの世へ旅立てるようにとの願いが込められたしきたり。
- 六波羅密(ろくはらみつ)
- 仏教における六つの徳目であり、悟りに至るための修行の道とされている。①布施(ふせ:施しをすること)、②持戒(じかい:戒律を守ること)、③忍辱(にんにく:耐え忍ぶこと)、④精進(しょうじん:努力すること)、⑤禅定(ぜんじょう:精神を集中すること)、⑥智慧(ちえ:真理を悟ること)。
わ行
- 別れ花(わかればな)
- 葬儀の際に故人の棺へ花を手向ける儀式。告別式の最後に、参列者が花を手に取り、故人の周りを飾るように納めるのが一般的。地域や宗派によっては「お花入れ」や「献花」とも呼ばれ、白や淡い色の花が使われることが多い。